君にとびきり甘い“愛してる”を。
社長に腰を抱きしめられ、駅前パーキングに向かった。
「これだよ。」
「え、これですか…?」
(普通の車に見えるけど…。)
目の前は一般的な車。いつもみたいな高級車じゃない…。
「そうだよ、どうぞ」
「…あ、ありがとうございます」
車の助席に座ると彼も運転席に乗り込み、溜息をついた。
「…ねぇ、なんで1人で歩いていたわけ?」
「いや…あの、みんな酔っていて…それで」
怒ってる…すごい怖い。
「……良かった…っ」
「…え?怒ってないんですか…?」
「怒ってないよ。俺…莉子ちゃんのことになると余裕なくなるんだよ。」
(怒ってないのか、良かった…)
「莉子ちゃん」
名前を呼ばれて顔を上げればすぐ近くに社長の顔が迫って…唇が重なった。
(き、キス…⁈)
「……ちょっ……んんっ」
軽く触れ合うようなキスはすごく甘かった。
「莉子ちゃん、少しは隙だらけって気付けよ。」
「…え……」
「莉子ちゃんはすごく魅力的なんだよ」
社長は私の唇に指で触れると、「…好きだよ」と耳元で囁いた。
彼に対して感情があるわけじゃないのに心臓の音が煩かった。