もういいや...と思ってた
龍斗「じゃあ、早速だけど体温測ってもらってもいい?さっき背中触ったら少し熱く感じたから」
と言われた。さっきまでのフレンドリーというか気さくという雰囲気から急に変わり医者の顔をしていた。その雰囲気に少し怯えながらも体温計を受け取り脇に入れる。
龍斗「ちょっとごめんね」
と言って私の手を取り、3本の指が手首に触れる。脈を取られている間は沈黙が続くが嫌な沈黙ではなかった。体温計が鳴る頃には先生の指は離れていた。体温計を見ると37.8℃
見られたら面倒臭いと思い、直ぐに消し、
「36.8℃でした」
と嘘をついた。ポーカーフェイスは得意だ。多分顔には出ていないと思う。
龍斗「そっか。で、なんで消したの?測ってそのまま渡して欲しいんだけど」
「...なんとなく」
龍斗「はい、もう1回」
と言われ渋々脇に挟む。今度は龍斗先生が腕をがっちり押さえ、緩く挟むことすら許してくれない。今度は消す前に取られてしまった。なんなら私すら見てない。
龍斗「38.0℃ね。なんで嘘ついたの?」
がっちりホールドされたせいか少し熱が上がっていた。
「...早く帰りたいので」
龍斗「こうやって測り直したり、嘘つかれた方が時間がかかるよ。これからは正直に教えてね。」
と少し威圧感のある態度で言われ
「...はい」
と答えるしか無かった。
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