もういいや...と思ってた
私には、ちゃんとお母さんとお父さんがいた。まだ2歳か3歳くらいでほとんど記憶がないけど、右にお父さん、左にお母さんがいて手を繋いで家に帰った。未だに家族の夢を見て朝泣いて起きることもある。恥ずかしくて誰にも言えないけどね。

お父さんとお母さんは、なんで居なくなったのか。そこは今でも思い出せない。事故なのか、それとも捨てられたのか。気づいたら施設にいた。嫌な記憶を思い出さないように脳が勝手に記憶から消したのか、全く記憶にないのだ。

成長するにつれ、家族の温もりは忘れていった。でも、小児科で入院しているせいか、小さい子がキャッキャ言いながら家族と喋っているところ、病院内で手を繋いで歩いているところ、転んでお母さんに抱き起こされ、泣き止むまで背中をポンポンと優しく叩いているところなど、色々な家族が目に入るせいか急に寂しくなった。無駄に心が成長している私にとって小児科というのは居心地が良いものではなかった。
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