もういいや...と思ってた
目を覚ますと、そこは病室だった。点滴に酸素マスク、心電図モニター。また、入院かななんて考えながらまた目を閉じる。まだ眠いのかすぐに眠りについた。

次に目が覚めると、そこには蓮が手を握って寝ていた。なんで?と思いながらも声が出ない。手に力を入れようとしてもなかなか動かない。それでも少し動いたのか蓮が起きてこっちを見る。少し微笑む私に泣く蓮。え?と思いながらも口パクのような形で大丈夫?というのが精一杯だった。というか私が大丈夫?って聞くのおかしいか。なんて冷静に考えられる私。蓮もすぐに涙を拭ってナースコールで私の目が覚めたことを伝えている。

すぐに龍斗先生がきて、ホッとしたような顔をしている。

龍斗「馬鹿!どんだけみんなが心配したか!」

やっぱり声が出なくて口パクのように

「ごめんなさい」

としか言えなかった。蓮が気づいたのか水を口に近付けてくれて少し飲むとむせたけど声が出るようになった。改めて

「ごめんなさい」

というと

龍斗「3日も目を覚まさなかったんだぞ」

と言われた。そんなに?って思っていたら

龍斗「お腹の子は亡くなってた。お腹の中で亡くなってたみたいだけどなかなか外に出てこれなくて恵ちゃんの体にも影響が出たみたい。子宮内を洗浄して抗生物質も打ったからもう大丈夫だよ。お腹の子は残念だったけど恵ちゃんが助かって良かった」

そう言われ、お腹をさする。また、涙が頬を伝う。ごめんねって思うのと同時に、一緒にあの世に行きたかったのかななんて考えて、

「なんで私死ねなかったんだろう」

なんて口走ってた。前回は思い切り引っぱたかれたけど、今回は

龍斗「...そんなこと言うな。この子も恵ちゃんには生きて欲しいと思ってるはずだよ」

と優しく諭すように言われたけど

「そんなことない。一緒に行ってあげれたら、この子も寂しくなんかなかったのに」

ずっと泣き続ける私に龍斗先生と蓮は何も言わずにそこにいてくれた。
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