傘を差して雨宿り
……どうしたらいいのかわからなくて、傘さしたまま、雨宿りしてしまった。
蒼羽の横で、莉帆はまた固まっていた。
どうしよう。
かえってまずい状況になってしまった気がする。
このイケメン様、昔のマンガに出てくる、ジャのつくガキ大将みたいに、
『おいっ。
貸せよ、その傘!』
とか言って、この傘、奪っていってくれないだろうか、といい大人がするはずもないのに願っていた。
だが、そのとき、あ、そうだ、と莉帆は気がついた。
新入社員の歓迎会のとき、この人幹事だったから、電話番号が入ってる気がするっ。
蒼羽は真横に居るのに、莉帆はカバンをごそごそやり始めた。
急いでスマホの画面をスクロールさせる。
あったっ!
『幹事の人』
……名前書いとけ、私。