傘を差して雨宿り
 文面を読んだあとで、蒼羽は莉帆を見下ろした。

 ふたたび目が合い、困った莉帆は、日本人の常にとして、とりあえず、にんまり笑ってみた。

 やはり、お前か、という顔を蒼羽がする。

「おま……」
と言いかけた蒼羽だったが、スマホを見て、なにか打ち始めた。

 すぐに莉帆のスマホがキンコーンとなる。

『なんでだ。
 お前が濡れるだろうが。

 ところで、何故、LINEだ』

 そう律儀に蒼羽はLINEで訊いてきた。

 真横に居るのに、莉帆がLINEで打ってくるのは、なにか訳があるのでは、と思ったようだった。

 いや、ない。
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