青の果てへと泳ぐきみへ
 


「えっ……?」


――ふと顔を上げて、一瞬息が止まった。


今わたしが立っている場所から、もう少しだけ岬の先端寄りの方。灯台の下に伸びるなだらかな岩壁。
そこにきらめく、光の粒たち。


……あれは。


思いがけず視界に飛び込んできた光景。
引き寄せられるように、そのまま岬の先端を目指して岩を渡っていく。

「おい佐波、」

「ねえ、あれ! 七瀬見て、岩が光って……っ」



“……もしかしたら、
あそこにきれいな貝殻たくさんあるかも”


貝殻拾いに夢中になって歩いてきた海岸。
そこから見た、すこし離れた岬の岩壁。

あの一度きり。

以来何度ここへ足を運んでも見ることができなかった、夢のような、星のような、小さくて眩しい岩肌の光。

間違いない。


ねえ七瀬、わたしね、きみにずっと見せたかった。

人魚姫と出会った、あの時と同じ――


 
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