青の果てへと泳ぐきみへ
「――佐波!!」
後ろから七瀬の聞いたこともないような怒号が聞こえ、はっとして振り返る。
わたしの両足はすでに灯台下の近くまで踏み入れていて、斜面がやや急になりゴツゴツと歪で安定しない足場に体がぐらついた。
その足元をすくうように、穏やかだった岬に突然強い風が吹いて、
わたしの体は、白波の立つ海の方へ大きく傾いた。
(あ……)
直後、耳に響いた激しい水音。
一瞬で青に染まる視界に、自分がどうなったのか嫌になるほどよくわかった。
たくさんの小さな泡が、手も足も動かせないわたしを追い越して、上へ上へと昇っていく。
それに反比例するように、重くなった体はゆっくりと沈んでいく。
青が、深くなっていく。
体が、冷たくなっていく。
――ドボン、
吐き出した泡を見つめながら意識を手放しかけていると、背後からまた、重い水音が聞こえた気がした。
ふいに、ついさっきわたしの名前を叫んだ彼の顔が浮かぶ。