青の果てへと泳ぐきみへ
 


何か良いアイデアはないか。

どうしたらあの子の興味を引けて、あの子だけにもっと近くへ来てもらえるだろう。

そしてふと思い立つ。


この“岩”を光らせることができれば。


……せっかく来たのだ。試してみよう。
灯台下のなだらかな岩壁に手を添えて、早速祈りを捧げる。

今一番叶えたいことは、


(あの子に近付きたい。あの子のことを知りたい)



……小さな町の海にあるおとぎ話の岩。
誰が最初に言い始めたのかもわからない。
岩が光れば願いが叶うだなんて、そんな魔法のようなことを本気で信じていたわけでもない。

でも、もしも。
おとぎ話が、本当ならば。




――ふいに、手を触れた岩肌から、小さな光がこぼれた。

その光はぽろぽろと溢れ、次第に増えていき、夜空に浮かぶ星のように無数に瞬きながら、灯台下の黒い岩壁を覆う。

思わず息を飲んだ。

今までに見た何よりも美しく、幻想的な光景だった。


 
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