青の果てへと泳ぐきみへ
そして人魚の期待通り、その光に気付いた少女は真っ直ぐ岬へと歩いて来た。
ゴツゴツとした岩場に足を踏み入れ、身を乗り出して岩肌に輝いていた星を探し始める。
その様子を、人魚は近くの岩陰に隠れて熱心に見つめた。
……すごい。
あの自立する二本の足は、自分たちの尾びれとは全然違う。
鱗のついていない皮膚は柔らかそうで、頭や体にまとうひらひらした装飾も珍しい。
小さな手には水掻きもなかった。
確かに顔のつくりや上半身の形は似ているけれど、やっぱり人間は人魚とは別ものだ。
岩に輝く星に、人間の子ども。
今日は良いものをたくさん見れた。
遠路遥々泳いで来た甲斐があったと人魚はすっかり満足し、そろそろ帰ろうと元来た方角へ再び潜ろうとした。
その時。
――ドボン、
すぐ近くで何かが海へ落ちる音が聞こえた。