青の果てへと泳ぐきみへ
 


彼もまたわたしと同じくカナヅチで、あの夏岬から海に落ちて溺れていたところを誰かに助けてもらったという。

そのときに、決して人間のものではない、碧くゆらめく美しい尾を見たような気がしたと。


誰にも言えなかったけれど、本当はまた会ってみたいと思っていたのだと。

彼は女の子みたいにかわいらしい顔を赤く染めながら、そっと教えてくれた。



わたしに、大事な「ともだち」ができた。




……なーんて甘酸っぱい気持ちになっていた頃が懐かしい。
今やもう仲良しなオトモダチというより腐れ縁、腐れすぎた悪友みたいなものなのかもしれない。

別に悪いことは何もしていないけれど。
この小さな小さな町で、人魚姫探しを続けるわたしたちはすっかり変わり者扱いだ。


七瀬は、嫌味はたくさん言うけれど、ため息もたくさん吐くけれど、いつもわたしと一緒にこの場所へ来てくれる。

太陽が地平線の向こうに沈んで空が暗くなっても、わたしがもう帰ろうかと言うまで、隣に座っていてくれる。

そして何より、諦めろと、言わない。

人魚姫なんてやっぱりいるわけがないと、あれは自分たちの見間違いだったのだと、


絶対に、言わない。


 
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