再会した幼なじみは☓☓オタクになっていました。
「取れなかった……」

「黒炎くん、大丈夫だよ。ああいうのは慣れっていうし、次は上手くいくよ」

私は、しょんぼりしてる黒炎くんを慰めていた。結局、射的は難しかったようで一度も景品は取れずじまいだった。

だけど、なんでもできる黒炎くんにも出来ないことがあってちょっと嬉しかった。だって、凄く悔しがってる黒炎くんはなんだか可愛かったから。

「ゲームで練習して来年こそは朱里にカッコいいところ見せてやるからな!」

今でも十分カッコいいのに。って、そこは現実じゃなくてゲームで練習なんだね。でも、そういうところは、いつもの黒炎くんらしいね。

「うん、楽しみにしてる」

黒炎くんは気にしてないかもしれないけど、“ 来年こそ”って言葉が私はとても嬉しく思えた。
だって、来年もこうして黒炎くんと夏祭りに来るってことだよね?

来年も黒炎くんと夏祭りを楽しめますように……と私は神様にお願いした。これは、ほんの小さな願い事。
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