再会した幼なじみは☓☓オタクになっていました。
「黒炎くんもカッコいいよ。前は試着だったけど、そのタキシードもカッコい……」

「名前は出さないように、だろ?」

最後まで言い終わる前に注意をされてしまった。私は名前を出してしまったとハッとしてしまう。

黒炎くんの指が私の口に当たってる。これ以上、名前を出さないようにというサインなんだろうけど人前でこれは恥ずかしすぎる。

「お嬢様、俺と一曲踊りませんか」

黒炎くんから差し出される手。しかも私のことをお嬢様って……。黒炎くんがその姿でいうと本物の王子様みたいに見えてくる。

「ぜひ、お願いします」

私は緊張していたけど、黒炎くんの手を握り返す。触れた手がやけに熱かったのは黒炎くんのことを意識していたからなのか。
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