再会した幼なじみは☓☓オタクになっていました。
「とはいっても、今日は君に会うためだけに待っていたんだけどね。……霧姫朱里さん」

「っ……」

笑っているはずなのに、その笑顔には一切の嬉しさの感情は混じっていない。そんな微笑みだ。なんて不気味なのだろう。

顔が整っている人の不気味な笑みというものは、どうしてこうも寒気を感じてしまうのだろうか。

「ああ、そんなに怖がらないで。……今からドライブでもどうかな?」

「結構です」

私はあからさまにプイっとそっぽを向いて、スタスタと帰る方向に足を進める。

「柊黒炎が学校に来ない本当の理由を知りたくはないかい?」

「えっ」

いきなり黒炎くんの名前を出されて足が止まる。私は男性のほうを振り向いてしまった。いけないことだとはわかってはいても、恋人が今どこで、なにをしているのか気になってしまう。
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