再会した幼なじみは☓☓オタクになっていました。
俺が中学生になったばかりの頃。家に帰ると会長が呆然と玄関にただ立ち尽くしていた。

「紅蓮、どうし……」

「美羽姉さんが……病院からいなくなったって」

「え?」

ある日、病状が悪化した美羽さんは病院に入院していた。入退院を繰り返していたものの、もう余命が近いと宣言され、先月からは病院での療養を余儀なくされた。

だけど、そんな美羽さんは今日病院から忽然《こつぜん》と姿を消したそうだ。
頭を鈍器か何かで殴られたような衝撃だった。

しかも、主治医と一緒にいなくなったらしい。その日から警察が動き、捜査が疑われたが、結局、美羽さんの足取りは一切掴めず、迷宮入りとなったのだ。

俺はまた家族を失った。
守れなかった……命の恩人を。涙は止まらず、毎日泣き続けた。母が亡くなったときのように。会長はそんな俺を抱きしめてくれた。
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