再会した幼なじみは☓☓オタクになっていました。
(この状況って、まるで恋人みたい)


隣を見ると黒炎くんの横顔。横から見ても整った顔立ちしてるなぁと見とれていた。


だけど恥ずかしさの感情のほうが強くて、なかなか近付けずにいた。


「朱里。そんな離れてると濡れるぞ?」


そう言うと黒炎くんは傘を持っていない手で、グイッと私の肩を自分のほうに寄せた。


「風邪引いたら大変だろ?」

「あ、ありがとう」


傘を持ってくれるだけじゃなくて私の体調まで気遣ってくれるんだ。やっぱり優しい。


触れられた肩が妙に熱い。黒炎くんがこんなにも近いはずなのに遠い気がするのは何故だろう。

これ以上期待させるようなことをしないでと強く言えたらどんなにいいだろう。


「朱里。スマホ光ってるぞ」 

「え? あ、お母さんからだ」


メールの内容は「今日はパパとの記念日で家にいません。一人家に置いておくのも危ないし、朱里は友達の家に泊まってね」と書かれていた。
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