漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~



 「おはよう………」


 気恥ずかしさから響は彼から視線をずらすけれど、千絃はそれを許してはくれなかった。顔を優しくつかむと、響の顔を上に向けた。


 「おまえ、また泣いた?目赤い……」
 「え、あぁ……なんか怖い夢見たみたいで、本当に泣いちゃってたみたい。よくある事だから、大丈夫だよ」
 「……泣いてるのに大丈夫はないだろ?………そういう時は俺を起こしていいから」
 「……大丈夫だよ。落ち着いたらまた、寝れるから」
 「俺が嫌なの。わかって」


 そう言うと響を抱き寄せてポンポンッと背中を撫でてくれる。


 「あと少し寝れるから。また2人で寝よう……」
 「………うん。ありがとう」


 彼の吐息と鼓動が近くで聞こえる。それが昔よりも安心出来るのは何故なのだろうか?
 そんな事を考えているうちにまた睡魔におそわれ、響はまたゆっくりと瞳を閉じたのだった。









< 102 / 192 >

この作品をシェア

pagetop