漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
「おはよう………」
気恥ずかしさから響は彼から視線をずらすけれど、千絃はそれを許してはくれなかった。顔を優しくつかむと、響の顔を上に向けた。
「おまえ、また泣いた?目赤い……」
「え、あぁ……なんか怖い夢見たみたいで、本当に泣いちゃってたみたい。よくある事だから、大丈夫だよ」
「……泣いてるのに大丈夫はないだろ?………そういう時は俺を起こしていいから」
「……大丈夫だよ。落ち着いたらまた、寝れるから」
「俺が嫌なの。わかって」
そう言うと響を抱き寄せてポンポンッと背中を撫でてくれる。
「あと少し寝れるから。また2人で寝よう……」
「………うん。ありがとう」
彼の吐息と鼓動が近くで聞こえる。それが昔よりも安心出来るのは何故なのだろうか?
そんな事を考えているうちにまた睡魔におそわれ、響はまたゆっくりと瞳を閉じたのだった。