漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
「あのゲーム会社にも僕の舞台も、宣伝にはなったみたいでね。問い合わせが殺到しているみたいなんだ。漣さんは人気者なんですね」
「そんな事は………」
「漣さんが出てくれれば、あのゲームも大成功になるのでしょうね」
「…………そう、でしょうか?」
「えぇ、もちろん。僕は、漣さんに惚れ込んでお誘いしましたしね。必ず成功させてみせますよ。なので、一緒に頑張ってみませんか?」
和歌が話したことは一理あることだった。
この話題性が続けば舞台とゲームに興味を持ってくれる人は多いだろう。チケットを買って足を運ばなければいけない舞台よりもゲームは身近なものだ。それに舞台を見て、少しでも興味を持ってくれればゲームを購入してくれる人が増えるかもしれない。「漣響」という商品価値が上がれば、千絃達と共に作り上げているゲームを知ってもらえるチャンスになるのではないか。
そう思ったのだ。
きっと、千絃も喜んでくれる。成功すれば、自分自身もとても嬉しいのだ。
「………わかりました。少しの役でしたらやらせてください。今度詳しいお話をさせてくれませんか?」
気づくと、響はそんな答えを出していた。
ギュッと手を強く握りしめながら、和歌を見つめると、和歌はにっこりと笑ってこちらに近づいてきた。
「嬉しいです。一緒に頑張りましょう」
そう優しく語りかけるように言葉を発し、響の頭を優しく撫でた。けれど、安心するどころが体が強張ってしまうほどの力があるように感じられたのだった。