漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
27話「本来の目的は」
27話「本来の目的は」
「響っっ………!」
「あ…………千絃………」
中庭で話をしていると、焦った様子の千絃が駆け寄ってきた。そして、響の頭に和歌の手が乗っているのをみて、キッと和歌を睨むと、響を抱き寄せた。
「何やってんだよ」
「あ、あの……千絃?ただ、話していただけだよ?」
「あぁ……漣さんの会社にいらっしゃった方ですね。そして、いつも送り迎えをしている。あなたは………」
「こいつの彼氏だ」
「………」
きっぱりとそう言ってくれる千絃に響はドキッとしながら彼の腕の中で真っ赤になってしまう。普段ならば言わないような事を彼は堂々と宣言してくれたのだ。こんな状態なのに、嬉しいと思ってしまう。
「そうだったんですね。それは知りませんでした。心配をおかけしました。それでは、漣さん。後程、契約の事をお話ししましょう。本日また会社に伺います」
「契約……何の事だ?まさか………」
「はい。響さんが私の舞台に出てくれる事になったのですよ。……では」
「…………なんだと………」
怪訝な顔で千絃に見下ろされている間に、和歌は自分の部屋へと戻ってしまう。
響は言いにくい事だが、自分で彼に説明しければいけないと彼を自分の部屋へと誘った。