漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~






   ☆☆☆



 和歌が提案してきた演劇の出演への依頼は破格なものだった。報酬もかなり多かったし、稽古の時間も「仕事が終わった後の数時間や休みの日の午前中のみで構わない」と言われたのだ。ゲーム会社の仕事が優先で、という条件をしっかりと飲んでくれた。
 そして、舞台上での台詞もたった一言のみだった。それ以外は殺陣のみだ。本当にゲスト扱いなのだな、という感じでホッとした。


 「それとこちらから依頼というか、お願いなのですが……他の役者達に剣の使い方を教えていただけませんか?」


 と、お願いされたのだ。
 自分の殺陣が落ち着いたら、他のメンバーにコツを教えてくれないか、というのだ。
 きっと、和歌はこの考えを前々から持っていたのだろう。いや、もしかしたら、これこそが響を誘った本当の理由なのではないかと思った。
 響は「剣道のような動きしかおき得られないけれど、それでも良ければ……」と話すと、和歌は喜んでくれたので、響も引き受ける事にした。



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