漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
30話「嫉妬のキス」
30話「嫉妬のキス」
「ん………和歌……さんっ!」
和歌の腕の力が一瞬緩んだ瞬間に、響は思いきり彼の体を押して、口づけから逃げた。
はーはーっと荒い呼吸を繰り返しながら、彼をキッと睨み付ける。けれど、瞳が潤んでしまい、きっと怒っているようには見えていないだろう。
「な、何で、こんな事するんですか?」
「………僕は眼鏡を取ると欲情してしまうんだよ」
「ふざけないでください!」
響は思わず声を荒げてしまうが、和歌はただニコニコと微笑むだけだった。
突然キスをしてきたのに、全く悪びれる様子がないのだ。
「こんな事するなんて、酷いです………。悪ふざけでやるような事じゃないです……」
「僕は君の事が好きなんですよ」
「………え……」
突然の告白に、響は目を大きくして和歌を見つめた。すると、和歌は「やはり、気づいてなかったね」と、苦笑いをした。