漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
和歌が自分の事を好きだった。
それに気づけなかった自分が情けなく、そして彼を傷つけてしまっていたのではないか。そんな風に考えてばかりでため息をついてしまう。こんな日は一人でいろいろ考えたい。
そう思っていたけれど、上手くいかないものだ。
「おはよう」
「………千絃、おはよう」
何週間ぶりだろうか。
響の部屋に千絃が訪れたのだ。
響は先程のキスを思い出しては、罪悪感を感じていた。千絃自身も会えなかったという負い目があるのか、お互いに気まずい雰囲気を感じていた。
「時間取れなくて悪かったな。今日は稽古か?」
「……うん。昼過ぎから行くつもり」
「そうか。じゃあ、今は時間ある?」
「うん」
「じゃあ、少し話さないか?おまえの話し聞きたい」
千絃と響は2人でベッドに並んで座った。2人の間には微妙な距離が保たれている。
手を繋ぎたい、肩が触れ合う距離にいたい。そう思うのに、今の響から近づくことは出来なかった。