漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
響の出番は後半だった。
主人公である春が剣士として立ち向かうと心新たにした時に邪魔をする者が現れる。それが元女剣士であり暗殺者でもある響だった。
出番になり真っ暗なステージに移動する響。響は暗闇で春を暗殺するシーンから登場する。春が古い友人と会っている際、花魁のような派手な衣装に身を包んだ女が現れるのだ。
「そこの方々、私は今主人から追われております。酷い主人で逃げ出して来たのです。報酬は奪ってきたものからお渡しします。助けてください」
響は必死な様子で春にすり寄る。
春の友人は「綺麗な女だな。そなたに悪さをするとは何ということだ。匿って差し上げましょう」と言うが、春は厳しい表情のまま響を見つめていた。
「女……助けてやってもいいが、懐に隠している物騒なものをこちらに寄越せ」
「…………え………」
「………………」
春の言葉に響の表情が歪む。
響は舌打ちをした後、素早く隠していた短剣を抜いて、春に向かって駆け出す。
すると、春も剣を脱いで、構える。
「お命頂戴いたしますっ!!」