漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
4話「剣舞」
4話「剣舞」
「な、何で踊らなきゃいけないの?仕事と全く関係ないじゃない?」
おろおろと動揺する響だったが、目の前の相手は至って平常で、当然の事のように「関係あるんだ」と、言った。
何故、久しぶりにあった幼馴染みの前で、しかも始めてきた会社で、2人きりのこの場所で踊らなければいけないのか。全く理解が出来なかった。
すると、千絃は面倒くさそうにする事もなく、ゆっくりと説明してくれる。
「モーションキャプターって知ってるか?」
「モーションキャプター?知らない……」
「さっき見せた動画のキャラクター。あれは実際に人に同じ動きをさせて、それをキャラクターが動かしているんだ。まぁ、無理すぎる動きはこっちで作ってるけどな」
「すごい……あんな殺陣、出来る人がいるだ」
「そこで殺陣って言葉が出るのはひびらしいな」
千絃はそう言うと、昔のように楽しげに微笑んだ。響と目が合うとすぐに真顔に戻ってしまうけれど、その笑顔は確かに彼のものだった。
不意の自然な笑顔に、響は思わずドキッとしてしまった。
「今回のゲームは剣を使っている時の動きをリアルにしたいと思っているんだ。より本物のように、より世界や人をリアルに」
「本物のみたいに………それはどうやって……」
「実際に人間に動いて貰う事だ」
「………え、まさか!?それを私がやるってこと?」
「察しが良くて助かる」
そう言うと千絃は倉庫になっているような部屋から長細いものを持ってきて、響に渡す。