漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
「はー………疲れた」
部屋に戻ると、響はすぐにベットに横になり大きく息を吐いた。
そして、先ほどの事を思い出す。
今日は貴重な体験をした。ゲーム会社にお邪魔して、いろんな話を聞けた。そして、久しぶりに剣舞を踊った。楽しかったはずなのに、やはり気持ちが浮かない。
千絃と一緒にいると余計な事まで考えてしまうようだ。
これで、共に仕事なの出来るのだろうか。
「………今度電話かかってきたらお断りしよう」
響はそう決めて、ゆっくりと目を瞑った。
思い出すのは、昔の彼ではなく今日楽しそうに微笑んでいた千絃の笑顔。
今日で会うのもおしまいになる。
悪い思い出で終わっていた彼との日々。それが楽しいものになった事はよかったと思える。
「もう、これで千絃とはおしまいね」
フッとジャスミンティーの香りを思い出す。
彼を思い出してしまう香りになってしまいそうだな、と思いしばらくは飲むのを止めようと心に決めた。