漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
5話「新しい道」
5話「新しい道」
璃都に教えてもらった動画サイトにアクセスすると、そのページは千絃が勤めているゲーム会社の公式にあった。
タイトルは「剣道の漣響がゲームの世界で舞姫に」と、書いてある。
恐る恐る動画を再生してみると、やはりあの時の剣舞だった。けれど、音楽は変わっていた。きっと、ゲーム内で使用されるものなのだろうが、全く違和感がない。けれど、そんな事を感心している場合ではないのだ。
詳しく見てみると、その動画は朝方に更新され、すぐに30万回再生されているのだ。
知らないうちに自分の動画が世の中に配信されてしまっていたのだ。恥ずかしさと怒りを感じてしまう。
「千絃ー!何で勝手なことをしたの!?」
部屋の中で一人叫んだ後、響は急いでスマホを取り、もう何年も使っていなかった千絃の電話番号に電話をかけた。すると、すぐに彼と繋がった。
「千絃!あなた、何を勝手なことを……」
『ちょうどよかった。連絡しようと思ってたんだ』
「え!?私はあの動画の事、怒ってるんだけど」
『あぁ……その話もまとめてきくから。今から家まで迎えにいく』
「な……また千絃は勝手に決めてしまうんだから!」
『じゃあな』
「ちょっと!………って、もう切れてる………」
響はため息をつきながらも、すぐに出掛ける準備を始めた。早く仕事を断って、動画を消してもらわないといけないのだ。
千絃から「あと少しで到着する」とメッセージが入り、響は気を引きしめながら、玄関を出た。