漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~




 次の日。

 千絃は約束通りに迎えに来てくれた。
 時間を無視して、先に出掛けてしまおうかと、ささやかな反抗を考えたけれど、迎えに来てもらってそれは申し訳ないため、仕方がなく彼の車に乗った。
 「おはよう」と挨拶してからは、ほとんど何も話せなかった。無理矢理キスをされたのだから当たり前だと自分に言い聞かせた。


 職場に付くと、千絃が連絡していたのか社員が拍手で歓迎してくれた。しかも、デスクまで準備してくれていた。
 響は感激しながらも、少しプレッシャーを感じていた。


 その後、関や千絃、そして千絃の部下達と自己紹介をしながら今後の打ち合わせをした。
 この中で唯一女性一人居たので、少しだけ安心出来た。


 「では、このモーションキャプタチームからいろいろ聞いてください。やり方などは前回まで担当していた斉賀さんから教えてくださいね」
 「わかりました」


 斉賀と呼ばれたのは、千絃の部下で唯一の女性のスタッフだった。響は斉賀の方を向いて「よろしくお願いします」とお辞儀をすると、ニコニコと笑ってくれた。




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