漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
打ち合わせで何個か技が決まった。
響が出来そうなものを伝えていき、基本的な動作となりうる斬撃を決めていく。
その後は実際に動いて見ることになった。
以前剣舞を舞った場所を使って、実際に体を動かしてみる。
皆が見ているのは恥ずかしかったけれど、模擬刀を持つと力がわくような気がした。試合の緊張よりいいのだ。失敗してもいいのだから。
そう思って、頭に思い描いた動きを行ってみる。左斜め下に思いきり刀を振り下ろすだけの動きだ。それを走り込んで敵を目の前にして斬る。響は剣道にない動きを、目の前に敵が居る事を想像してから走り、そして思いきり刀を振り下ろした。そして、刀を鞘に戻すと拍手が上がった。
「すごーい!きれい!姿勢がいいのかな?」
「さすが、プロだな。動きに隙がない!」
「なんか、いろんな技が想像出来そうだな」
と、スタッフから称賛の声が上がった。
響は嬉しいよりも、認めて貰えた事によりホッとした。
その後は、少しずつ難易度が高いものを動いてみた。
どれも難しかったけれど、剣道では使わない動きが出来ることが楽しかった。
しばらくして、休憩していると斉賀が響に近づいてきた。