漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
声がする方を見ると、そこには細身で背の高い男性が立っていた。少し茶色の髪に、気長がの鋭い目、そして長い手足。変わらないニヤリとした笑みで、響はそれが誰かすぐにわかった。
月城千絃(つきしろ ちづる)。響の幼馴染み。だが、それも昔の話し。
驚き、彼の顔をまじまじと見てしまったけれど、響はすぐに鋭い視線を向けた。
「今さら何の用?」
「久々に会った幼馴染みに対して冷たいな」
「元幼馴染みよ。あなたとはもう友達でもなんでもないわ」
「思い詰めた顔をしているのを見かけたら心配してみれば………相変わらず、だな」
「あなたに心配してもらう筋合いはないわ」
響は、そう言うと彼から視線を逸らした。
最後に会ったのは何年前だろうか。学生の頃なので大分昔の話しだ。
もう会うこともないと思っていたのに、再会してしまうなど、最悪な日だなと響は内心で大きくため息をついた。
「何で泣いてた?」
「泣いてないわよ!あなたの見間違えでしょ?」
「泣いているように見えたな。麗しの女侍様が」
「その名前で呼ばないで。私はもう剣の道は捨てたわ」