漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~



 「悪かった。早くに止めるべきだったな」
 「千絃は止めてくれたでしょ?私が無理を言ってお願いしたんだから、私の責任よ。それにこれぐらいの傷は何ともないわ」
 「…………家まで送る。今日は休めと関さんにも言われた。後、さっき買ってきた弁当あるから。その腕だと動きづらいだろ」


 そう言って、千絃は視線を後部座席へ向ける。響もそちらを見ると、お弁当やお菓子、スポーツドリンクにジャスミンティーなど、いろいろなものがビニールに入って置いてあった。
 先ほど、いなくなったのはこれを買いに行っていたのだと知り、響は胸の奥がぎゅーっと締め付けられた。


 千絃の事がわからない。
 けれど、こうやって優しくされるのは嬉しいし、理由が理解出来ない。
 嫌われているはずなのに、守ってくれたり、褒めてくれたり、優しい笑みを向けてくれる。

 約束を破ったくせに、病気の事を覚えてくれている。


 響の感情は限界まできていた。




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