漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
16話「暗い未来と揺らがないはずの決意」
16話「暗い未来と揺らがないはずの決意」
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気づいたら、いつも隣に居た。
それが幼馴染みという関係なのかもしれない。
幼い頃の思い出にも、親が大切にしているアルバムの写真にも、必ず真っ黒な瞳をキラキラ輝かせて微笑む、可愛い少女が自分の隣に居た。
親同士が友人であり、近所に住んでいたため、千絃と響は毎日一緒に遊んだ。幼稚園も小中学校も、高校も同じだった。幼い頃は公園やお互いの家で普通に遊んでおり、響は泣き虫なのに必死に我慢をする強気だけど優しい女の子だった。千絃はどちらかというと内向的で意地っ張りな所があったかもしれない。そのため友達とトラブルになる事も多かった。それでも、ケンカもほとんどせずに響と遊べたのは、千絃が彼女にだけは気を許していたからかもしれない。
2人で剣道を習い始めたことで、更に仲はよくなった。お互いに剣道に夢中になり、稽古が終わっても、竹刀を握りしめて2人で練習を続けていった。好きな気持ちが大きかったのと、練習量が多かったからか、めきめきと力をつけていき、大会に出場すると上位入賞をするようになっていた。
「あー………あの時、急がなきゃよかったよな。まさかあんなに素早く打てる奴だと思わなかった」
「おしかったね。私も千絃が勝つと思ってた」
千絃がため息混じりにそう言うと、響は励ますように少し苦い顔をしながらも微笑んでくれる。気を使ってくれているのだろう。自分も負けて悔しいはずなのに。
この日は1年に1度の高等部の全国剣道大会が行われたのだ。千絃と響は、1年生ながらも出場したのだ。響は2回戦敗退。そして千絃は準優勝となった。
「俺も自分が勝つと思ってた」
千絃の相手は体格のよい3年の大会常連校の主将だった。千絃が、始めに面を取り、その後相手に小手を取られた。終了時間ギリギリという頃に千絃の打ち損ねた打撃をかわされて、強烈な面を鮮やかに決められたのだ。
千絃は悔しくて仕方がなかったが、完璧な一本だったので文句も出なかった。