漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
「はー……メダルじゃなくて、トロフィーがよかった」
「いいじゃない。高校の全国大会のメダル。見せて?」
試合後に竹刀をかついだ2人は近くの河川敷に座り反省会をしていた。お互いに制服に着替え終わっている。だけれど、汚れることも気にせずに草むらに座って夕日を眺めながら話をした。
「これ。首にかけてやろうか?」
「いいよいいよ。だって、自分で勝った時にしたいもん」
メダルの入った箱を渡すと、響はキラキラした瞳で中に入ったらメダルを切ない表情で見つめていた。
「いいな……今まで頑張ってきた証だね。とってもかっこいいね!」
安物のメダルに剣道の絵が描いてあるだけの本物の金でもないメダル。それを感動しながら見ている響を見ていると、千絃は胸が高鳴った。とても可愛いなと思ってしまうのだ。
けれど、それと同時に悔しさも込み上げてくる。どうせならば、1番強い証しでもある優勝のメダルを見せたかった。「準」という文字がとても憎らしい。