漣響は強くない ~俺様幼馴染みと忘れられた約束~
そんな甘い夜だったが途中からは暗雲が立ち込めていた。
「だから!俺は気にしないって言ってるだろ?」
「私は気にするのよ!」
「いいから、怪我人は早く寝るぞっ!」
「いやよ!」
響はソファに座り、そう抵抗の声を上げると、千絃は「おまえは………」とため息混じりの声を出した。
「1日ぐらい風呂に入らなくてもいいだろ」
「一応女なんで、そういう事は気になるんです」
「………俺が言いって言ってるだろ。何で、そこまで嫌がるんだよ」
何故言い合いになってしまったのか。
それは寝る前にお風呂に入る事になった頃から始まったのだ。
響は腕を何針か縫う怪我をしたのだ。そのため、今日は入浴は厳禁なのだ。お風呂で綺麗にしていない体のまま、千絃のベットを使うのは申し訳ないと、一緒に寝るのを断りソファで休もうとした響を、千絃は反対したのだ。
響としても、それは譲れなく言い合いになってしまったのだ。
「………絶対いやよ!ソファで寝るから!おやすみなさいっ」
そう言って、ソファに横になろうとした。
けれど、その体はソファに倒れるどころか浮いてしまっていた。
千絃が抱き上げて、そそくさと歩き始めてしまっていた。