【短編】君の後ろ姿を見て
そんなある日だった。
そうこれがなければ
今でも君は
隣で笑っていてくれていただろうか?
恥ずかしかったんだ。
好きだと気付いてから、君とはまともに目を合わすことができなくなった。
女優としては
恥ずかしい気持ちはなかったけど
一人の少女と考えると、
やっぱり気恥ずかしかったんだ。
僕は気づかない内に、君とはなさなくなっていた。
そんな君が自分から声をかけてくれて
小さな封筒を渡してきた。
前よりも増えた痣が
痛々しげに腕を覆っていた。
僕は受け取れなかった。
君とろくに話せもしないのに、君を守れるわけがないと思ったんだ。
でも君は勘違いをした。
僕は君を嫌ってなんかいなかったのに。
自転車の後ろに乗っていたのは、偶然会った妹だったのに……
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