何度忘れても、きみの春はここにある。
プロローグ
『何ひとつ、忘れたくない』。
最後の投稿は、その一言で終わっていた。
文章と一緒に添えられていたのは、肩甲骨の高さまで伸びた髪が、春風に舞い上がっている見知らぬ女の子のうしろ姿。
背景には勿忘草が咲きほこっていて、彼女はそれを体育座りで眺めている。
淡い青色の世界に、ぽつんと座っている彼女の姿を見て、理由も分からず涙が出た。
……教えて。
この涙の理由を、誰か教えて。
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