心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
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「純也。私を選んでくれて ありがとう。」
「どういたしまして。まりえ 俺に応えてくれて ありがとう。」
ウェディングドレスの私は
涙を堪えて 純也を見つめる。
ミーハーな お義母さんの希望て
6月に 結婚式を決めて。
年明けから 建築が始まった
私達の新居も 出来上がって
先週から 住み始めた。
「私 こんな幸せになれるなんて。純也のおかげだから。これからも よろしくお願いします。」
「こちらこそ。これからは バリバリ働いて もっと幸せにするからな。」
「純也。」
「まりえ。」
まだ 誰も来ない 控室。
純也は 私を フワッと 抱きしめる。
「泣くなよ。化粧が 落ちちゃうから。」
「うん。でも 嬉しくて。」
ティッシュで 鼻を押さえて 私は言う。
これから始まる 1日も。
これから始まる 一生も。
私は 希望しか 感じられなかった。