心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

あゆみさんに 言われたとおり。

私は 次の週に 祐一君から 告白された。


あゆみさんに 聞いてから

祐一君を 意識してしまい

それまでのように 気軽に 話せなくなった私。


「あっ。麻里絵ちゃん。ちょっといいかな。」

バイトが終わった 帰りがけ。

祐一君に 呼び止められた。


「んっ?なあに?」

足を止めて 私は 振り返る。

「麻里絵ちゃん 何か 俺のこと 怒ってる?」

「えっ?何も 怒ってないけど?」

「最近 俺のこと 避けてない?」

「避けてないよ…」

「絶対 避けてる。何で?」

「だって…あゆみさんが 変なこと言うから。」

私は 少し口ごもる。


「あー。栄太さんだ!言わないでって 言ったのに。」

祐一君は 急に 顔を赤くする。

何も言えずに 祐一君を見る私。


「麻里絵ちゃん 彼氏いる?」

祐一君は パッと顔を上げて 私に聞く。

大きく 首を振る私に 優しく笑って

「俺と 付き合ってくれる?」

真っ直ぐ 私を見て 祐一君は 言った。


こんなとき 何て答えていいか

何もわからなくて。

駆け引きも 計算も できないまま。


私は 黙って頷いた。






< 15 / 112 >

この作品をシェア

pagetop