心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
車に乗り込んで 私は ラインを返す。
『何を ご馳走して頂けるのかな?』
こんな返事をしたら 田辺さんを 喜ばせてしまう。
わかっていたけど。
湯沢一家に 疲れていたから。
誰かと 話したくなっている私。
車を出して 一つ目の角で ラインが鳴る。
『麻里絵ちゃんの 望むものを 何なりと』
私は 頬を綻ばせ 信号待ちで 返信する。
『駅前パーキングで 待っています』