心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
平日は 図面を 作成したり。
プレゼン資料を 作ったり。
1人 事務作業を こなしながら。
若葉ハウジングの 別の支店で 打合せもあって。
それなりに 忙しく 毎日は 過ぎていく。
田辺さんには 翌日 ラインをして。
お礼とお詫びを 言ったけど。
田辺さんは いつもと変わらない
軽快な返事を 送ってくれただけ。
あれから 私は 油断すると 田辺さんのことを 考えていた。
私の話しを聞いて 田辺さんは どう思ったのかな。
あの時 田辺さんは 私に 何も言わなかったから。
本当は 同情してほしかったの?
もう忘れろって 言われたかったの?
違う… 田辺さんの 対応は 完璧だった。
あの時 何かを 言われたら
きっと私は 反発していた。
田辺さんは 痛みが わかる人。
でなきゃ あんな対応は できない…
あっ。また私 田辺さんのことを 考えている。
そんな風に 1週間が過ぎて。
あの日に借りた CDを聴くと
最初は 胸が 詰まったのに。
徐々に 甘い気持ちになっている私。
私 田辺さんの 罠にかかってしまったかも。
新鮮な驚きは いつもの恐怖を 呼び覚まし。
グラグラ揺れる 気持ちに 戸惑う私。