心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
アパートの下から 電話をしてきた純也。
「301号室だよ。」
私が 部屋番号を 教えると
「部屋 行ってもいいの?」
純也は 少し驚いた声で 車を停めた。
「こんばんは。」
落ち着かない顔で 部屋を見回す純也。
「コーヒー淹れるね。」
「車 大丈夫?」
「多分。」
私も 少し 緊張していた。
「いい部屋だね。センスいいよ。」
「ありがとう。一応 コーディネーターだから。」
私の言葉に クスクス笑って
「そりゃそうだ。」
と純也は言った。
「どうぞ。」
冷房が効いた部屋だから 熱いコーヒーを差し出す。
ソファに座る純也に 向かい合って
私が 床に腰を下ろすと
「まりえ。会いに来たお礼に ハグさせて。」
と純也は ソファの隣に 私を呼ぶ。
私は 頷いて 純也の横に座る。
照れながら 純也を見る私を 純也は 抱き締めた。
ギューッと抱かれて 私も 純也に腕を回す。
純也の手は 私の背中を 撫でる。
強く抱きしめては 力を緩め。
私達は 無言で 抱き合う。