心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
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翌日 私の部屋まで 迎えにきた純也に
「昨夜は ありがとう。」
と私が言うと
「まりえのせいで 俺 寝不足。悶々としちゃったよ。」
と純也は 私に 笑いかけた。
「えっ?ゴメン。」
私が ハッとして言うと 純也は 心地良い声で 笑う。
「嘘だよ。」
「えー。私 本気で 謝ったのに。」
私は 甘く拗ねた声になっていて。
そんな自分に 驚いてしまう。
「まぁ。少しはホントだけど。大丈夫だよ。一応 もう大人だから。」
ずっと敬語で 話していた私達だけど。
名前を呼び合うだけで 親密感が変わる。
寛いでいるのに 甘くて。
恋って こんなに 胸が熱くなるんだっけ?
純也は 私のペースに 合わせてくれるけど。
その もどかしさが 余計に 私を捉えて。
臆病なまま 年だけ重ねた 耳年増の私。