心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
メイン会場から 少し離れた駐車場に 車を停めて。
手を繋いで 歩いているうちに 花火は始まった。
「うわぁー。」
大きな音に 耳を塞ぐ間もなく
夜空に 大輪の花が咲く。
「綺麗!」
私は 空を見上げて 立ち止る。
花火って こんなに 大きかったの?
花火って こんなに 美しかったの?
私は 何も言えずに 花火に見とれてしまう。
色褪せた記憶に 支配されて
何も 見ようとしなかった私。
お腹まで 響く轟音が
古い私を 撃ち落としていく。
川原に腰を下ろして
肩を抱く純也に もたれて。
大きな音で 上がり続ける花火に
私達は 笑顔を交わし合う。
隣に 純也がいるから 花火も 辛くない。
純也が 好きだから…
こんな簡単なことに どうして 気付かなかったのだろう。
ずっと 明るい笑顔の私を
純也は 満足そうに 見つめていた。