心を ほどいて ~コーディネーター麻里絵
「まりえ。お腹空いたね。何か 食べて帰ろう。」
車に乗ると 純也は言ったけど。
みんな 考えは 同じ。
近くのお店は どこも いっぱいで。
「何か買って うちで食べようよ。炒飯くらいなら すぐできるし。」
「浴衣に 手料理?これは 完璧な挑発だな。」
なんて 嬉しそうに笑いながら
純也は 私の部屋に 向かった。
私は また 一つ 壁を崩せた。
私の心の ずっと閉ざしていたドアを
純也は 一つずつ 開けてくれる。
私が 心の鍵を 純也に託したから。
純也で よかった…
こんなに 幸せな時間が 待っていたのに。
もう私は 純也も自分も 怖くなかった。