心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵
13

「まりえ。俺 今夜は 帰らないよ。」」

バスルームから 出た私を

抱き締めたまま 純也は言う。

私は 覚悟して 小さく頷く。

 
「今日は これだけでいいの。何もしないよ。ずっとまりえを 抱いているからね。」

私が 驚いて 純也を見ると

優しい笑顔で 純也は頷く。


「心配しないで。俺 すごく嬉しいんだよ。まりえが 自分から 前を向いてくれたから。一緒に ゆっくり歩こうね。まりえ。」

啄むようなキスを 何度も繰り返し

私の頬を 両手で挟んで 純也は言う。


私は今夜 1人になりたくなかったけど。

純也に抱かれることも まだ不安で。


どっちかを 我慢しないといけない。

両方は 無理だと思ったから。


純也に 求められたら 許す覚悟をした。


でも 違うんだね? 求め合うってことは。

許すとか 覚悟とか。そんなことじゃなくて。

もっと 自然なことだった。


そんなことも 忘れるくらい

久しぶりの恋だから。



そんな私を 純也は 理解してくれた。





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