心を ほどいて  ~コーディネーター麻里絵

自分の傷に 夢中で 祐一君を 思いやれなかったけど。

祐一君だって すごく傷付いていた。

だって 私は 祐一君に 愛されていた。

私が 祐一君を 愛していたよりも 強く。


「私達 ホントに子供で。今 考えると もっと別の手段もあったって。でも あの時は あれが 精一杯だったわけじゃない?それで いいんだと思うよ。」


理沙は 優しい目で 私を見て言った。

私も 笑顔で 頷く。


「たくさんの人に 助けてもらって。色々な人を 傷付けて。それに 気付くのに 8年もかかって。私って ホントに ポンコツだわ。」


「麻里絵は いつも 真っ直ぐで。誰にでも 変わらない態度で 接していて。大学中が 麻里絵の味方みたいになった時 あったじゃない?それが 麻里絵の評価だよ。」


「理沙 ありがとう。私 いつも 理沙に 励まされてばかり。大学で 最初に 声かけてくれたの 理沙だもの。」

「やめてよ。照れるじゃない。でも 放っておけないのよ。麻里絵って。多分 今の彼も そう思っているんじゃない?」


「どうかな。それより 理沙 どうして 千佳のこと 知ってるの?」


「国文科の清美って 覚えてる?あの子が 千佳と同じ会社に 入社したの。それで 千佳に聞いたんだって。」

「そうだったの… 千佳 今 どうしているの?」


「せっかく入った会社も 1年ちょっとで 辞めちゃって。色々あったらしいよ。先輩から いじめられて。田舎に帰るって 言ってたみたい。」


「いじめって…職場なのに?」

「あるのよ。職場のいじめって えげつないから。でもさ いじめられる人って やっぱり どこかに 問題あったりするんだよね。多分 千佳も 見抜かれたんじゃない?ズルさみたいなものを。」


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