アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
不思議な森とファーストキス
この世界では、人間と魔族が共に暮らしている。人間と魔法使いたちが手を取り合い、仲良く街で暮らしている。

そんな街に住む子どもたちは、人間も魔族も幼い頃から親にこう言い聞かされて育つ。

「街外れの森に行ってはいけないよ。危険だから」

街の外れには、美しい木々が生い茂る森がある。その森には貴重な薬草や動物などがいるのだが、誰も足を踏み入れない。なぜ危険なのか、誰も知らないが森には近づかないのだ。

しかし、行ってはいけないと言われて興味の出る人間や魔族は少なくない。一人の魔法使いの少年もその森に興味を抱いていた。



「えっと……蘇生魔法の呪文はレーヴェで杖はこう動かすんだよね」

月がモチーフのアクセサリーのついた魔法使いらしいとんがり帽子をかぶり、赤い蝶ネクタイを結んだ衣装を着た少年がブツブツ言いながら道を歩いている。金髪に碧眼の可愛らしい顔立ちの少年だ。

少年の名前はロネ・ガランテ。十七歳の魔法使いだ。今日は魔法のテストがあるため、勉強している。
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