アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
少女はロネに背を向け、森の奥へと歩き出す。その後ろ姿でさえ、彼女の美しさを語っていた。ロネは「待って!!」と声を上げる。

「あなたの名前は?」

ロネが呼び止めると、少女は気怠そうに振り返り、言った。

「アテナ・イェーガー。お前と同じ十七歳」

アテナはそれだけ言うと森の奥へ姿を完全に隠してしまった。ロネはドキドキする胸を押さえながら薬草を取る。

「また、会えたらいいな……」

まだ唇には柔らかな感触が残っている。ロネはまたこの森に来ようと決意した。



「ロネ、何だか今日はいつもより嬉しそうだよね」

「何かいいことでもあったのか?」

ロネが帰る支度をしていると、ナタリーとネイサンに声をかけられる。ロネはドキッとしてしまった。

「えっ?な、何のこと?」

「いや、朝からずっとどこかソワソワしていたからな。何かあったのかと」

ネイサンにそう言われ、ロネは「う〜ん。いいことはあるかな〜」と言ってかばんを手にする。そして二人に手を振って教室を出た。
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