アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
「今日はアテナに会いに行く日だ！」

ロネは胸を弾ませながら森へと向かう。森に行くなんてこの街の人は許してくれない。そのため、ロネはアテナと会ったことなどは秘密にしていた。

通りを全速力で走り、森へと迷うことなくロネは入っていく。そして初めてアテナと出会った場所に行くと胸を弾ませながら彼女の名前を呼んだ。

「アテナ！！アテナ〜！！」

すると、数秒もしないうちに背後に気配を感じた。振り向くと無表情なアテナがいる。しかし、ロネと距離を取っているためもう唇が触れることはない。

「何でまた来たんだ」

「アテナに会いたくて」

ロネがそう言いはにかむと、無表情なアテナの頰が一瞬赤く染まる。その赤い瞳が一時的に驚きで見開かれた。いつの間にか、ロネはアテナに対して恐怖感などを抱かなくなり、敬語もなくなっていた。

「……変なやつ。こんな場所に来る人間なんていないのに」

「俺は魔法使いだよ！今日はね、こんなことがあったんだ」

呆れたようなアテナにロネは学校であったことなどを話す。アテナと話をすることがロネにとってささやかな楽しみになっていた。
< 13 / 21 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop