アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
「ひょっとして、歴史に興味ある?」

「学んだことはない」

アテナの言葉にロネはかばんの中から教科書を取り出す。古代のことから現代のことまで記された歴史の教科書はどの教科よりも分厚く、重い。

「この本に歴史は全て書いてあるよ」

ロネがそう言うと、アテナは興味深そうに教科書をめくった。ロネは自分の覚えている範囲で解説をしていく。

「ヴィンディゲート宣言っていうのは、魔族と人間が共に生きるために初めて提唱されたものなんだ。この宣言がなければ魔族と人間が共に生きる未来はなかったんだよ」

「ブライユ戦争っていうのは、百年以上続いた人間と魔族の戦いなんだ。この戦争で多くの人間や魔族が犠牲になったよ」

「ノワール王国は、今はなくなってしまった国なんだ。ヴィンディゲート宣言が出される前から人間と魔族が共に生きた国として有名だね」

ロネの説明をアテナは真剣に聞いている。その表情にロネはドキッとしてしまった。やはりこの顔に見覚えがある。
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