アテナ・イェーガー〜出会い、のちにキス〜
「今から十七年前、一人の魔女がこの世界を闇で支配し自分のものにしようとした。その魔女の名前はメルガ・キース」

映像の中に黒髪の美しい女性が現れる。魔法で再現をしたものらしい。ガーネットやルビーを思わせる赤い瞳に、男女関係なく頰を赤くした。

「綺麗だね」

ナタリーの言葉に、恋愛経験などほとんどないロネも頷いてしまう。魔女というよりは女神のようだ。

「みんな、この美しさに見とれているようだが、この魔女はとんでもない大悪党だからな!!」

ミッシャ先生がそう言い、黒板を軽く叩く。ボウッとメルガを見ていたロネはハッとして授業に意識を戻した。

「メルガは魔法界一の魔力の持ち主だった。軍隊を作り国々を攻めようとした。実際に攻められた国も多くある。そんなメルガは捕らえられ処刑された。しかし、彼女はお腹に子どもを身篭っていて、処刑される一ヶ月ほど前に出産している。その子どもがどこで何をしているかは誰にもわからない」

先生がそう言った刹那、チャイムが鳴り響く。授業が終わったのだ。みんな体を次々に立ち上がり帰っていく。
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